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以前のブログ・投稿で、私を救ってくれた本として、カウンセリング心理学者である國分康孝先生の『〈自立〉の心理学』(講談社現代新書、絶版)を紹介しました。今回も、この本の中から、含蓄のある言葉を紹介します。筆者が渡米する際に、金持ちのある社長がとった行動について、触れたものです。


〔以下、引用〕
 さて、私は渡米するとき、金の工面で苦労していると語ったところ、彼は「じゃあ、ぼくが貸しましょう」と、すぐ三十万円を私の銀行口座に振り込んでくれた。私にとっては大金であった。ふつうなら親しい間柄だから無利子でよい、というところだが、彼は私に借用証書を求めた上、いくらでもよいから利子を払うようにとつけ加えた。最初私は冷たいなあ、ケチだなあと思ったが、それが若輩の私に対するしつけだったと思う。金銭に対する甘さを私にもたせないようにその年配者としての老婆心だったと思う。その証拠に、彼は送別会と歓迎会をちょっとしたレストランで開いてくれた。その費用と私への餞別をトータルすると、ちょうど私の予定した利息分に相当する額であったから。
 なるほど、こんな具合にされると気持ちも引きしまる。なあなあ主義をよいことにいつでも気楽に借金できるなどという甘えはふっとんでしまう。彼の息子さんたちが立派に育った理由がよくわかった。
〔引用終わり〕


気骨のある社長さんだと思います。私なら、親しい人にこういうことをきちんとできるかわかりません。つい、自分の弱さから、「借用証書なんかいらないよ」とやってしまいそうです。もちろん、利子も取らないと思います。しかし、この社長さんはあえて、杓子定規にそこをきちんとやった。これだけで偉いと思います。


しかも、送別会を企画して餞別も渡しています。これだって、面倒です。あきらかに「思いやり」からくるものです。こう考えると、社長は二重に「思いやり」を発揮しているのです。つまり、


①現実原則をきちんと教える
②真心こめた送別会をする


です。言うまでもなく、一番ラクなのは、①も②もやらないことです。それでも、社長さんの収支は変わりません。しかし、そこをあえてやりとげる。すばらしいことだと思います。


教育にたずさわる人間には、このような精神が必要なのだと思います。


なかなかまねできませんが、この文章から学んだ精神を、教育に生かしていきたいです。


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