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不登校の生徒さんは、多くの場合、休養が必要です。特に、「心の休養」です。
不登校の原因は多々あり、また、原因がわからない場合も結構あります。ですから、一概に論ずるのは非常に乱暴なのですが、そのお子さんとその学校の何かが合わないということは言えると思います。いずれにせよ、お子さんにとっては、学校へ行くことはつらいことであり、あんなに強制されても、そのつらさを乗り越えるだけのエネルギーがないから、不登校になるわけです。
不登校のお子さんの人生が開ける突破口になるのは、そのお子さんのエネルギーが動き出すときです。エネルギーが動くのは、好きなことや楽しいことをするときです。たいていのお子さんには、好きなこと、あるいは楽しいことがあります。私の接してきたお子さんですと、
ゲーム、マンガ、動画を見る、歴史、地理、鉄道、プラモデル、パソコン、カメラ
などに興味を示していました。こういう好きなこと、楽しいことを自分のペースで存分にやれると、エネルギーが動き出すことが多いです。
その逆にエネルギーを奪うことは、学校へ行くことや勉強することです。もちろん、ほんとうに「自分自身の気持ちで」学校へ行きたいとか勉強したいと思う場合は別ですが、人から学校へいくことや勉強することを勧められれば、それがプレッシャーとなり、エネルギーが減っていきます。
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私が子どものころの変な思い出ですが、私はアスパラガスが苦手でした。しかし、いつだったか、食べられた瞬間がありました。その日は、そこそこアスパラガスを嫌がらずに食べました。
すると、次の日のおかずには、大量のアスパラガスが入っていました(笑)。好き嫌いの多い私を、なんとか「更生」させたいという親心だったのでしょうが、これにはまいりました。少しくらい食べられるようになったからといって大量に与えられれば、それは「難行苦行」というものです(笑)
不登校のお子さんも「心の休養」がとれると、勉強のことが気になってきたりします。しかし、それは多くの場合、「興味」というよりは「不安」からです。エネルギーが回復したばかりのころというのは、病気で言えばやっと点滴からおかゆになったようなものです。いきなりご飯を食べさせられても、だめになってしまいます。お子さんが勉強のことを口にするとうれしくて、つい勉強をさせようという気になってしまいます。無理ならぬことではあるのですが、そのタイミングは慎重に判断する方がいいでしょう。
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不登校の中学生の保護者の方と面談していると、どうしても気になってしまう言葉があります。
「高校くらいは行ってほしい」
いくら寛大にお子さんを見ているつもりでも、「高校くらいは行ってほしい」という気持ちがあると、それはお子さんへの「しばり」になります。なぜなら、その思いは、高校という「形」を強制するものであり、お子さんの内部にあるエネルギーが出てくるのとは無関係だからです。お子さんのエネルギーを抑えこみ、お子さんの自然な成長をさまたげることになります。
そもそも、高校は義務ではありません。また、高校に行った人がすべて幸せになり、高校に行かなかった人がすべて不幸になるなどという事実も存在しません。「納税額日本一」及び多数の著作で有名な斎藤一人さんは、高校に行かなかった分早くお金持ちになったと、豪語しています。
「高校くらいは行ってほしい」と自分が思うその根拠はどこからくるのか、保護者の方にはよく検討してほしいと思います。そのうえで、どうしてもその気持ちがぬぐえないのであれば、たとえば、自分の心の中で、お子さんにこんなふうに言ってみてはいかがでしょうか。
「わたしはあなたに高校くらいは行ってほしいと思っています。けれども、これはわたしの思いです。あなたがどのように生きていきたいのかを考えるのは、あなたです。あなたの人生は、あなたのものです。」
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